○外交・安全保障に関する調査
(「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「包摂的平和(Inclusive Peace)の実現に向けた課題と方策」について)
─────────────
-
080 高木真理
発言URLを表示○高木真理君 ありがとうございます。 三人の先生方、本当に貴重な知見をいただきまして、ありがとうございました。 まず最初に、細谷参考人に伺いたいというふうに思いますけれども、リベラルな国際秩序が衰退し、その中にあっても日本はリベラルな国際秩序の擁護者として役割を担ってきて、更にその役割は大きくなっているという方向性をお示しをいただきました。 その一方で、日本は、この間に経済的な成長と、そしてだんだんちょっと危なくなって衰退してきているという現状があるわけですけれども、こうした経済的なパワーを失ってきている現状の中で、それがもたらす国際社会に与えるパワーへの影響と、そういう現状の中ではどういうことを、パワー、何の力を使って日本は国際社会へと影響力を与えていけるのかというところについて御示唆いただければと思います。 -
081 細谷雄一
発言URLを表示○参考人(細谷雄一君) 貴重な御質問ありがとうございます。とても重要な問題だと思います。 日本が一体どのような手段を通じて国際社会で貢献していくのか。従来、日本は経済大国としてODAを中心に支援をしてきたわけですが、実はしばしば指摘されるように、GDP当たりということでいうと、日本は実はG7の中で今まで、ここ何年かODAの予算も増えてきましたけれども、それ以前はGDPでも最低水準の時代が続いていたと、GDP当たりですね、額ではなくて、人口が多いですから。そう考えたときに、実はまだまだ日本は、ODAに関しても十分に責任を果たす水準に到達しているかというと、今までもそうではなかったということが一つと、特に、アメリカがUSAIDというものを廃止するということになりますと、今日の相良参考人のお話にありましたように、その空白を埋めていく上でより一層の役割が必要になってくるんだろうと思います。 とはいいながらも、人口減と経済成長の鈍化ということを考えたときに、純粋にODAの額で国際社会でアピールするということが簡単ではない。その間、日本が行ってきたのが、例えばJICAなどを中心にした法整備支援です。日本の様々な経験から、非西洋国家である日本が途上国における法整備を支援する。例えば、東南アジア、中央アジアの多くの国々で日本の民法や商法をそのまま導入しているような国があると。日本の法学者がそういった国に行って、安定した社会をつくる上で貢献していることがあると。こういった、日本は様々な形で、ODA以外、つまりお金以外のことでも貢献することが十分にできるんだろうと思います。 また、近年関心が持たれているのは日本の社会保障制度ということで、人口減とそして経済成長の鈍化というもの、これから中国、韓国始め多くのアジアの国でも同様の経験をする、それを、逆に日本はどうやって維持しているのかということで、この社会保障制度の問題点というものがたくさんありながらも、しかしながら比較的日本のこういった社会保障の制度というものが他国の関心の的になっていると。 このことがうまく導入、確立ができなければ、そのことがその国の社会不安にもつながってきますので、日本自らの改革の努力というものが不可欠であることは言うまでもございませんけれども、実は日本がこれまでほっぽってきた我々のウエー・オブ・ライフ、生活の質の中で、どういったものが国際社会において日本の経験から貢献できるかということを更に拡大することもできるのではないかというふうに考えております。 -
082 高木真理
発言URLを表示○高木真理君 次に、相良参考人に伺いたいと思います。 こうした人間の安全保障あるいはグローバルヘルスやユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、大変重要な取組だというふうに思っておりまして、こういう分野に貢献することで途上国や新興国にも響く活躍を日本がすることができるというお話だったかと思います。 その中で、今アメリカの撤退の穴を埋めるべく資金の移動をすべきだというお話もありましたけれども、日本の支出において、その拠出というものが、ODAの全般の中から見ても、保健分野に対して出している資金の量というものが割合が低いのではないかという指摘もあるんですが、その点についての御見解を伺います。 -
083 相良祥之
発言URLを表示○参考人(相良祥之君) ありがとうございます。 その議論というのはかなり昔からずっと繰り返されている議論ではあるんですけれども、これは、国際開発援助、とりわけ日本の場合は、要請主義に基づくODAについては、やはりその相手があるというものでございますので、やっぱりその現地に、あるいはその相手の途上国にどういうニーズがあるのかというものに従って日本の得意な領域とマッチをさせて拠出をしていくということになりますので、一概にどれぐらいの割合を目指せばいいのかとか、そういったのは難しいというのは一般論としてありますけれども、ただ、現下の足下の状況の、このWHOですとかUSAIDをめぐる動きというのを見ると、やはりグローバルヘルス、国際保健における空白地帯というのは非常に大きいんではないかというところもありますので、恒常的にというよりかは、このタイミングで日本政府としてもある程度、世界の情勢を見て最大限できる貢献を強みのある分野で発揮をしていくということが望ましいかというふうには考えております。 -
084 高木真理
発言URLを表示○高木真理君 まさにこのタイミングを狙って、私も更に日本の貢献を広めてほしいなというふうに思っております。 そうした中でありますけれども、この一人一人の命を大切にするという世界的な援助の活動というものが本当に価値あるものだというふうに私は思うわけでありますけれども、これが、健康を守る、あるいは貧困というものも、ある一定その命を救うという活動の中で達成することができるという、戦争の芽を摘むこともできるというふうに思うんですけれども、こんなに一つ一つの命を大切にしようとしている中で、もう力を使って兵器でもって命を奪っても何とも思わないというパワーも一方で存在をするわけですよね。 この間にある矛盾というものがとてもやるせないなというふうに思うんですけれども、力で変えようとする人たちに、これだけ一人一人を救おうと思っている活動の重要性みたいなものをもっと価値を感じてもらって抑止する力にすることはできないかというふうにも思うんですけれども、何かそこに、一段ここをシフトを上げる何か知恵などありましたらお聞かせいただければと思います。 -
085 相良祥之
発言URLを表示○参考人(相良祥之君) 非常に難しい問いですけれども、御案内のとおり、国際社会というのは、主権国家がそれぞれの常識とそれぞれの正義というものを持っているわけであります。 私は紛争地、スーダンですとかアフガニスタンでも短期間働いたことがありますけれども、戦闘を行っている当事者というのは、家族であったりとか親しい友人というのを亡くしていて、それに対する復讐というのが彼らにとっての正義になっているというところがございます。これは括弧付きの正義と言うべきかもしれませんけれども。 ただ、いずれにしても、そのような残酷なリアリズムを踏まえた上で、それでも、将来を見据えたときに子供たちにどういう未来を残したいんですかといった形でやはりこの希望を見せていくというのは非常に重要でありまして、実は日本がフィリピンのミンダナオでやっていた手法というのはそれでありまして、欧米の和平調停と加えて、日本がJICAによって、まさに職業訓練等ですね、そういったもので、開発で未来を見せることによって、希望のある未来に向けて銃を置こうといった平和構築の活動というのを日本はいろんなところでやってきておりますので、やっぱりそういった活動を引き続き伸ばしていくというのは重要だろうというふうには考えております。 -
086 高木真理
発言URLを表示○高木真理君 最後、時間短いんですけれども、市原参考人に伺いたいと思います。 SNSというのは民主主義といい意味での相性があると思うんですけど、皆が意見を表出しやすいということで、しかし、これがポピュリズムにつながっていく源にもなっていて、非常に、何の情報を信じたらいいのかも、ファクトチェックもままならないまま大変騒音のようになっていって混乱するという意味では、民主主義を逆に根底から覆してしまう可能性も持っているというふうに思いますが、そうした中では、逆に権威主義で力で抑える国家の方が強さを発揮してしまうような場面もあるかと思いますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。 -
087 市原麻衣子
発言URLを表示○参考人(市原麻衣子君) ありがとうございます。 ここは本当に難しい問題だと思います。SNS上の言説を完全に規制しないということはやはり重要です。これは、特に例えば権威主義国で、人々に対する抑圧がひどい中で人々が真の情報を流そうと思ったときに、匿名性をある程度担保した上で情報が流せる空間というのはやはり必要です。 他方で、ここまで偽情報が拡散し、そして人々がエコーチェンバーの中で問題のある言説に取り込まれていくということは、やはり何か対処をしなければいけないんだと思います。 一つには、ファクトチェックというものがあります。ただ、ファクトチェックは、それ自体がエコーチェンバーに引っかかってしまうという問題があります。それですので、リテラシーの教育というものもそうですし、それから、一人一人の人間がカウンターナラティブをつくっていくということをやっていく必要があると思っています。私の方では、実は、日本全国から大学生を集めてカウンターナラティブのトレーニングを毎月行っています。 -
088 高木真理
発言URLを表示○高木真理君 以上で終わります。